選挙がおこなわれるときに、昔から問題になっているのが一票の格差。これってどういう意味で何が問題なのかを、わかりやすくかんたんに解説します。
一票の格差をかんたんに言うと?
1人しか当選枠のない選挙区AとBの町を例にしたとします。
有権者 | 当選枠 | |
選挙区 A町 | 10万人 | 1 |
選挙区 B町 | 1万人 | 1 |
有権者の多いA町での1票と、その10分の1のB町とでは1票の重みが違うということになります。
もう少しくわしく解説すると次のようになります。
選挙区(有権者) | ねこ党 | いぬ党 | |
A町(10万人) | 当選8万票 | 落選2万票 | |
B町(1万人) | 落選4千票 | 当選6千票 |
A町では2万票も獲得した「いぬ党」ですが落選しています。ですがB町では、たった6千票で当選しています。つまりその選挙区での人口(有権者の数)によって、格差がうまれてしまうということになります。
1票の格差なぜダメ?
ではどうして1票の格差があるのはダメなのでしょうか?
それは日本国憲法のなかに「法の下の平等」というものがあります。つまり1人1人に与えられる選挙権、投票用紙はすべて平等でなければならないという決まりがあります。
さっきの例だとB町のように、人口の少ない1票はとても重い1票となるので平等ではないという考えになります。
1票の格差が大きい都道府県は?
A町とB町のような10倍という格差がある都道府県はありませんが、最大で2倍~3倍というところが増えてきています。
宮城・新潟・福井・神奈川・東京・大阪・長野・岐阜等があります。これらは人口が集中しているところと、そうでないところの差が激しいので格差が生まれてきているということです。
問題解決する方法はあるの?
この問題は60年くらい前からとりあげられてきていますが、完全な解決にはいたっていません。島根や鳥取などは、有権者の少ない隣同士の選挙区をくっつけて選挙を行う「合区」(ごうく)という方法がとられてきました。
2025年くらいからは47都道府県にまずは議席1ずつ分配し、そこから人口の多い少ないによって残りの議席を割り振るという「アダムズ方式」が適用されるようです。
1票の格差是正反対意見とは?
合区やアダムズ方式で1票の格差を解決しよう!という意見とは反対に「そんな事しなくてもいい!」という意見もあります。
反対意見の人達の言い分は、都市部に議席を多く与えると人口の少ない地方を切り捨てる行為だというものです。
議員数が人口の多い地域にかたよってしまい、過疎地の問題を考えてくれる議員が少なくなってしまうという不安があるんだと思います。
1票の格差まとめ
1票の格差とは、都市部など人口の多いところほど1票の価値が軽く過疎地などの人口が少ないところでは価値が重いということです。
有権者の少ない選挙区では、数千・数百票で当選してしまうという問題もあり、都市部との格差は最大で約3倍くらいになっています。
過疎部では隣接する選挙区などを合同で選挙をしたり、近々議席の数を人口によって振り分けるということが行われる予定です。